ガスの性質

ガスの性質による分類

 ガスの分類

 ガスは、高圧法によっていくつかの種類に分類され、乙種化学の試験においても該当するかどうかを問われる問題が出題されている。
 すべてではないですが、頻出のガスに関して分類を記載します。

1-1. 可燃性ガス

アクリロニトリル、アンモニア、エチレン、メチルアミン、塩化エチル、シアン化水素、水素、アセチレン、エタン、塩化ビニル、アセトアルデヒド、エチルアミン、クロルメチル、酸化エチレン、ジボラン、二硫化炭素、ベンゼン、ブタジエン、プロピレン、メタン、ブタン、ブロムメチル、硫化水素、モノゲルマン、プロパン、ホスフィン、モノシラン

1-2.支燃性ガス

オゾン、酸素、空気、塩素、二酸化塩素、フッ素、三フッ化塩素、三フッ化窒素

1-3.不活性ガス

ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、 キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素

1-4.毒性ガス

アクリロニトリル、モノメチルアミン、硫化水素、クロルメチル、三フッ化リン、セレン化水素、ホスフィン、アクロレイン、トリメチルアミン、モノゲルマン、亜硫酸ガス、五フッ化ヒ素、二硫化碳素、モノシラン、アルシン、五フッ化リン、ジシラン、フッ素、アンモニア、酸化エチレン、四フッ化硫黄、ブロムメチル、三フッ化窒素、一酸化炭素、四フッ化ケイ素、ベンゼン、塩素、三フッ化ホウ素、ジボラン、ホスゲン

1-5.特殊高圧ガス

アルシンジシラン、ジボラン、セレン化水素、ホスフィン、モノゲルマン、モノシラン

1-6.分解爆発性ガス

 アセチレン、ヒドラジン、オゾン、エチレンオキシド、エチレン、ゲルマン、一酸化窒素

性質による分類

2-1.気体の色

塩素:黄緑色
オゾン:淡青色
二酸化窒素:赤褐色
臭素:赤褐色
フッ素:淡黄色
ヨウ素:黒紫色

2-2.気体の重さ

最も軽い:水素(次いでヘリウム)
最も重い:ラドン

2-3.気体の臭い
刺激臭:Cl2、Br2、HCl、NH3、NO2、SO2、HF
腐卵臭:H2S
特異臭:O3、F2、HCN、C2H4、C2H2、C2H5OH

2-4.気体の沸点
最も低い:ヘリウム
最も高い:タングステン

2-5.気体の密度
最も低い:水素
最も高い:オスミウム

ガスの性質

3-1.酸素(O2)
⓵色・臭い・種類:無色、無臭、支燃性ガス
②重さ:32g/mol (空気(28.9g/mol)より重い)
③溶解性:水にわずかに溶ける
④製造方法:空気を冷却することにより分離(酸素、窒素、アルゴンに分離)
⑤その他特徴:金属酸化物はアルカリ性を示す

3-2.窒素(N2)
⓵色・臭い・種類:無色、無臭、不活性ガス
②重さ:28g/mol(空気(28.9g/mol)より軽い)
③溶解性:水にほとんど溶けない
④製造方法:空気を冷却することにより分離(酸素、窒素、アルゴンに分離)
⑤その他特徴:窒素は燃焼してNOXと呼ばれる窒素酸化物になるが、酸性雨や光化学スモッグの原因となる。ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成の減量として用いられる。

3-3.アルゴン(Ar)
⓵色・臭い・種類:無色、無臭、不活性ガス
②重さ:39.9g/mol
③溶解性:不溶
④製造方法:空気を冷却することにより分離(酸素、窒素、アルゴンに分離)
⑤その他特徴:非常に安定な元素のため他の物質と反応しない。白熱電球などの電灯の封入ガスとして用いられる。

3-4.二酸化炭素(CO2)
⓵色・臭い・種類:無色、無臭、不活性ガス
②重さ:44g/mol
③溶解性:水によく溶ける
④製造方法:石油化学プラントから排出されたものを精製する
⑤その他特徴:二酸化炭素は吸いすぎると頭痛・眩暈などを催し、その後意識を失う危険なガスです。冷却して固体となったものはドライアイスとして用いられています。

3-5.ヘリウム(He)
⓵色・臭い・種類:無色・無臭・不活性ガス
②重さ:4.0g/mol(水素に次いで軽い)
③溶解性:水にほとんど溶けない
④製造方法:天然ガスを精製し分離する
⑤その他特徴:沸点が-269°Cと低いため、MRI等の冷媒として用いられる。

3-6.水素(H2)
①色・臭い・種類:無色、無臭、可燃性ガス
②重さ:2g/mol
③溶解性:水に溶けにくい
④製造方法:炭化水素の水蒸気改質によって大量に生産される。また、水の電気文化によっても得られる。
⑤その他特徴:還元性が強く、高温で金属の酸化物または塩化物と反応して金属を遊離する。水素と酸素の混合気体を点火すると爆発し大きな音をたてて水蒸気になり、水素爆鳴気という。

3-7.フッ素(F2)
①色・臭い・種類:淡黄色、特有のにおい、毒性の強い支燃性ガス
②重さ:37.8g/mol
③溶解性:水に溶ける
④製造方法:天然には蛍石や氷晶石などに含まれる。
⑤その他特徴:ての元素の中で最も強い酸化力を持ち、ほとんどすべての元素と反応する。水素とは冷暗所においても混合により発火爆発を起こす。

3-8.塩素(Cl2)
①色・臭い・種類:黄緑色、刺激臭、毒性の強い支燃性ガス
②重さ:70.8g/mol
③溶解性:水に溶ける。
④製造方法:塩化ナトリウム水溶液からイオン交換と電気分解とを併用するイオン交換膜法によって、水酸化ナトリウムとともに生産される。
⑤その他特徴:毒性が極めて強く吸入すると呼吸が侵される。強い漂白・殺菌作用を持つため、パルプや衣類の漂白剤や、水道水やプールの殺菌剤として使用される。

3-9.臭素(Br2)
①色・臭い・種類:赤褐色、刺激臭、支燃性ガス
②重さ:159.8g/mol
③溶解性:水に少し溶ける
④製造方法:臭化物イオンを含む水溶液を酸性条件下で塩素を吹き込み、酸化された臭素単体を蒸留精製する。
⑤その他特徴:強力な酸化剤で、金属や有機化合物と容易に反応する。オゾン層を破壊する作用があるため、徐々に使われなくなってきている。

3-10.ヨウ素(I2)
①色・臭い・種類:黒紫色、特有のにおい、
②重さ:253.8g/mol
③溶解性:水にわずかに溶ける
④製造方法:海水中に含まれ、生物濃縮されている。
⑤その他特徴:消毒作用があり、ヨウ素のアルコール溶液はヨードチンキと呼ばれる。体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要なため、ヨウ素はヒトにとって必須元素である

3-11.ネオン(Ne)
①色・臭い・種類:無色、無臭、不活性ガス
②重さ:10g/mol
③溶解性:水に少し溶ける
④製造方法:空気を液化・分留して生産する。
⑤その他特徴:ガイスラー管に詰め放電すると橙赤色で光るため、ネオン管の封入気体として利用される。

3-12.硫化水素(H2S)
①色・臭い・種類:無色、刺激臭、毒性ガス
②重さ:34g/mol
③溶解性:水に良く溶ける。
④製造方法:石油精製の過程において水素化脱硫装置によって生じた硫化水素を含む酸性ガスをアミン水溶液で吸収したのち、再加熱によって高濃度の硫化水素を含むガスを得る
⑤その他特徴:、還元性が強く、濃硝酸、発煙硝酸と激しく反応する腐食性が強く、水分がある環境では特に著しい腐食性を示す。高濃度ガスを吸入した場合、即死、低濃度でも中枢神経を麻痺させたり、失神、呼吸停止を起こす。

3-13.塩化水素(HCl)
①色・臭い・種類:無色、刺激臭、毒性ガス
②重さ:36.5g/mol
③溶解性:水に溶ける
④製造方法:塩化ナトリウム水溶液の電気分解によって水酸化ナトリウムとともに水素と塩素を生成し、その後水素と塩素を混合して生産する。
⑤その他特徴:水に溶けると塩酸になり、強酸性を示し、イオン化傾向が水素より大きい金属は、塩化水素に侵され、水素を発生して塩化物となる。吸入すると喉、目、鼻を刺激し咳が出る。

3-14.フッ化水素(HF)
①色・臭い・種類:無色、刺激臭、毒性ガス
②重さ:20g/mol
③溶解性:水に溶ける
④製造方法: 製法は螢石 と濃硫酸 を混練して生産する。
⑤その他特徴:皮膚に触れると激しく痛み、体内に浸透して腐食する。空気中で発煙する。

3-15.シアン化水素(HCN)
①色・臭い・種類:無色、特有のにおい(アーモンド)、毒性ガス
②重さ:27g/mol
③溶解性:水、アルコールに溶ける
④製造方法:ソハイオ法によるアクリロニトリル製造の際の副産物として得られる。
⑤その他特徴:水分またはアルカリ性物質などを含むと重合が促進され褐色の固体を生成する。猛毒で吸入すると中枢神経に作用し呼吸機能を麻痺させる。

3-16.メタン(CH4)
①色・臭い・種類:無色、無臭、可燃性ガス、アルカン
②重さ:16g/mol(空気より軽い)
③溶解性:水にほとんど溶けない。
④製造方法:天然ガスから得られる。一酸化炭素と水素を反応させる。
⑤その他特徴:天然ガスの主成分である。空気中でよく燃え、淡青色の炎を出す。ニッケル触媒中、高温で、酸素あるいは水蒸気と反応させると一酸化炭素と水素が生成する。発電用、都市ガス用の天然ガスとして燃焼用に用いられる。化学工業用として水蒸気改質、部分酸化などによる合成ガスの製造に用いられる。

3-17.エタン(C2H6)
①色・臭い・種類:無色、無臭、可燃性、アルカン
②重さ:30g/mol
③溶解性:水に溶けにくく、有機溶媒に溶ける。
④製造方法:石油を分留することで得られる。
⑤その他特徴:高濃度のガスの吸入で中枢神経機能の低下がみられるが、5%程度以下の濃度では全身症状は認められない。ガソリン添加剤の製造原料として以前は大量に用いられた。

3-18.プロパン(C3H8)
①色・臭い・種類:無色、無臭、可燃性ガス、アルカン
②重さ:44.1g/mol
③溶解性:水に溶けにくい
④製造方法:天然ガス・プロセッシング、石油の分留あるいは分子量の大きいアルカンのクラッキングによって得ることができる。
⑤その他特徴:ガス燃料として用いられている。LPガス(LPG)として販売されていることが多い。空気の比重と比較すると1.5倍重く、プロパンが漏洩すると床面に滞留する。

3-19.エチレン(C2H4)
①色・臭い・種類:無色、特有のにおい、可燃性ガス、アルケン
②重さ:28g/mol
③溶解性:水にほとんど溶けず、アルコール、エーテルによく溶ける。
④製造方法:ナフサを主とする炭化水素を水蒸気と混合して800-900℃程度の高温で熱分解し、生成物を蒸留分離してエチレンを生産する。
⑤その他特徴:二重結合を有するため、不可反応を起こす。石油化学工業の基本原料なため、ポリエチレン、アセトアルデヒド、酸化エチレンエタノール、高級アルコール、酢酸ビニルなど様々な化学品が製造される。

3-20.アセチレン(C2H2)
①色・臭い・種類:無色、特有のにおい(エーテルのような香気)、可燃性ガス、アルキン
②重さ:26g/mol
③溶解性:水に溶ける
④製造方法:炭化水素の熱分解による方法(熱分解法)や、カーバイド法を用いて生成される。
⑤その他特徴:通常は共存する不純物のため特有の臭気、反応性に富む。分解爆発を起こす危険性が高い。そのまま圧縮して容器に充填するのは危険なため、内部に多孔質物を詰め、これにアセトンを浸み込ませた上で溶解する。

3-21.エタノール(C2H5OH)
①色・臭い・種類:無色、特有のにおい、可燃性ガス、アルコール類
②重さ:46.1g/mol
③溶解性:水に溶ける
④製造方法:デンプンや糖を原料として、酵母を用いて発酵させてエタノールを製造する発酵法や石油や天然ガスから得られるエチレンを原料として触媒を用いて水を付加させる合成法がある。
⑤その他特徴:酒を酒たらしめる化学成分であり、酒精(しゅせい)とも呼ばれる。、溶剤や燃料として用いられる。工業用アルコールのうち、天然 の原料から作った発酵アルコールは、食品の防腐用、みりんなどの調味料の原料などに使用され、化学合成された合成アルコールは、接着剤、インク、塗料、農薬などに使用される。

3-22.一酸化炭素(CO)
①色・臭い・種類:無色、無臭、可燃性ガス
②重さ:28g/mol
③溶解性:水に溶けにくく、エタノールに可溶
④製造方法: 800 ℃ 以上に加熱したコークスと水(水蒸気)を反応させて作られる水性ガスから得られる。
⑤その他特徴:体に極めて有害で吸入すれば、赤血球のヘモグロビンと結びついて一酸化炭素ヘモグロビンとなり、赤血球の機能を破壊して死に至らしめる。鉄族(Fe、Ni、Co)と反応して金属カルボニルを形成する。高温で鋼など接触すると炭素を生成して金属組織内に拡散浸透し脆化する。

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